1.

名前を、呼ぶ声が聞こえる。
聞いたことがない声のはずなのに、それはどこか懐かしく。

「……。」
「……。」

呼ばれているのはそう、自分だ。

「……!」
「……!」

呼ばれているはずなのだけれど、どういう風に呼ばれているのかは、分からない。
声が小さいわけでもない。遠くから呼ばれているからでもない。
ただ、聞こえないのだ。

ソレが僕の名前?

そう聞くと、その声は優しく告げた。

「そうだよ」

ふわりと、暖かい気持ちになった。





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